2021年度 土木学会関西支部技術賞・技術賞部門賞を決定しました
土木学会関西支部技術賞は、土木技術の発展に貢献する優れた業績を表彰することにより、その成果をたたえるとともに支部会員の意識の高揚を図ることを目的として1982年に設けられた表彰制度です。
2021年度は8件のご応募をいただき、選考の結果、技術賞5件と技術賞部門賞1件を決定しました。
技術賞の表彰は、2022年4月15日に建設交流館で開催される「土木学会関西支部表彰式」で執り行われ、賞状などを授与いたします。
なお、掲載の記事・写真・図表の著作権は、受賞団体および公益社団法人土木学会関西支部に帰属します。
技術賞
- 【対象業績】
- 営業線斜交差直上での長大合成桁架設プロジェクト-北陸新幹線舞崎線路橋-
- 【受賞者】
- 西日本旅客鉄道株式会社大阪工事事務所
- ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
- 大成建設株式会社関西支店
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、鉄道営業線直上かつ高圧電線直上という難易度の高い長大合成桁の架設において、狭隘な施工ヤードの中、様々な工夫により架設計画を改善し、CGを用いた架設ステップ動画による事前確認やICT技術を活用して安全で高精度な現場管理により難工事を完了させたものである。また、近隣住民とコミュニケーションを図り、沿道パトロール等で地域貢献したこと、地域への環境負荷を軽減する様々な取り組みを行ったことを評価し、技術賞とした。
技術賞
- 【対象業績】
- 加須良川引水設備新設による既設境川発電所の発生電力量増加の取組み
- 【受賞者】
- 関西電力株式会社
- 株式会社安藤・間
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、庄川水系加須良川に取水えん堤と導水路トンネルを新設し、隣接する境川へ引水することで既設の境川発電所の発生電力量の増加を実現させたものである。活断層と近接する現場でトンネル掘削発破を活用した調査や様々な補助工法などの技術を駆使し工事を成し遂げた点や、既存ストックや現場の地形条件を有効活用し、クリーンエネルギーの増加を実現するという先駆性と汎用性の高さを評価し、技術賞とした。
技術賞
- 【対象業績】
- 田尻スカイブリッジ 陸・海・空にわたる斜張橋の大規模耐震補強
- 【受賞者】
- 大阪府岸和田土木事務所
- 鹿島建設株式会社関西支店
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、高所足場が海抜95.4mに達する主塔、水面下は高波の影響を受ける橋脚の耐震補強工事という異なる施工条件下において、主塔補強の足場設置のために、3次元立体モデルの作成や実物大試験など、新旧織り交ぜた技術を活用するとともに、橋脚補強のための鋼矢板の施工で高波や導流堤捨石への対応などに工夫することで、無事、耐震補強工事を完遂したものである。また、本橋梁のライトアップの試行に工事用電源等を活用し地域に貢献したことを評価し、技術賞とした。
技術賞
- 【対象業績】
- 都市高速道路本線橋初の床版取替え工事への平板型UFC床版の適用
- 【受賞者】
- 阪神高速道路株式会社管理本部
- 鹿島建設株式会社関西支店
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、都市高速道路本線橋で初の床板取替工事に、近年開発された平板型UFC床板を適用した事業であり、死荷重を削減すると同時に道路構造物の耐久性を向上させたものである。また、地域への影響が非常に大きい都市高速道路の通行止めに対して、さまざまな工夫により施工の急速化を図り、通行止め期間を極小化している。今後ますます増えていく高速道路の大規模更新工事で高い汎用性・発展性がある内容を評価し、技術賞とした。
技術賞
- 【対象業績】
- UAVの自律飛行による河道閉塞や砂防施設の調査・点検技術
- 【受賞者】
- 国土交通省近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所
- 国土交通省近畿地方整備局大規模土砂災害対策技術センター
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、現地に近づくことが危険な箇所に2機のUAVを組み合わせて、安全かつ迅速に現場状況を把握可能とする技術である。多くの困難を克服して、防災、インフラ管理における日本初のレベル3飛行(目視外補助者なし自律飛行)を成し遂げたこと、昨今、頻発する土砂災害の現場対応として広範囲かつ迅速な災害調査手段が獲得できたこと、今後のUAV利活用の可能性を大きく期待できる取組みであることを評価し、技術賞とした。
技術賞部門賞 (喜ばれる技術)
- 【対象業績】
- 交差点改良を通した地下駅におけるバリアフリー化の実現
- 【受賞者】
- 阪神電気鉄道株式会社
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、道路下の狭小な空間に建設されバリアフリー化が困難であった西元町駅において、地上部の交差点改良を併せて実施することで用地を生み出し、エレベーターの設置を実現した事業である。ほかの狭小な鉄道駅にも利用できる技術や、長年課題となっていたバリアフリー化、交差点の安全性向上、など、地域住民だけでなく道路管理者、交通管理者に広く「喜ばれる技術」であることを評価し、技術賞部門賞とした。